ポーランドのヴロツワフで開催されるOpera Wroclawskaの毎年恒例の野外公演の音響システムに、NEXO STMシリーズラインアレイとヤマハデジタルコンソールの組み合わせが3年連続で選出され、オーディオレンタルサービス会社PogoArtがこの壮大な屋外公演の音響業務を請け負いました。今年の演目は、ヴェルディの「La Traviata(椿姫)」です。
ヴロツワフのオペラ一座による毎年恒例の野外公演では、約2,500人の観客を前に最高級のステージが繰り広げられます。この公演では、ヴロツワフのボルノシチ広場の広大なスペースを最大限に利用した、幅35メートル奥行20メートルの3段ステージが使用されます。そこには壮大かつドラマチックなセットが組まれ、130名の合唱団と30名のバレエ団、そしてオペラ一座を含む大勢の出演者が収容されます。
オペラハウスは、この演目のミキシング担当として再びTanel Klesment氏を任命しました。エストニアのタリン出身であるKlesment氏は、前年もPogoArt社のチームと協力して「Nabucco」と「Faust」のミキシングを担当したエンジニアです。
PogoArt社はメインシステムにNEXO STMシリーズのモジュラーラインアレイを指定し、そのメインモジュールにはコンパクトなM28エンクロージャーが片側12台ずつ使用されました。サブベース用にはS118が16台、更に追加のM28キャビネットをフロントフィルにも採用し、これらのシステム全体はDanteでネットワークが構築された14台のNXAMP4x4によってドライブされ、FOHではKlesment氏がYamaha Rivage PM7とRIO 3224-Dユニットを並べて使用し、Danteネットワークを管理しました。
PogoArt社のLukasz “Synek” Lison氏は、「室内」の芸術スタイルを「屋外」に持ち出すことに関する、音響プロフェッショナルの特別なこだわりについて次のように述べています。
「プロデューサーは、室内オペラの体験と感覚の再現を私たちに事細かに求めました。ヴロツワフオペラは室内では一切PAを使用しないため、これは簡単な仕事ではありません。そこで私は、できるだけ自然で変色のないサウンドを届けることを可能とするサウンドシステムの構築を一番の目標としました。プロデューサーは自然なダイナミクスを忠実に再現することも重視しましたので、劇中には極端なピアニッシモから極端なフォルテシモまで大幅な音量差があるため、これもできるだけ自然に聞こえて、歪みや人工的な響きが出ないようにする必要がありました。」
「NEXO STM M28の導入により、上記の基準は両方とも容易にクリアできました。音源からスピーカーまでの信号フローの高品質にこだわり、YAMAHA RIVAGEコンソールとDPAやNEUMANNのマイクを指定しましたが、その素晴らしさについては言うまでもありません。」
「サブ(S118)は、メインシステムの最低周波数帯域をサポートすることを主眼に使用されました(クロスオーバーは60Hzに設定)。またその設計においては、メインシステムとの一貫性を保ちつつステージへの低域の回り込みを最小限に抑えることも同時に目指したため、Back To Back(カーディオイド)設定を採用しています。」
「舞台美術、ビデオマッピング、照明デザインの観点からすれば、壮大なスケールのショーを演出する上で野外環境が好条件となることに疑いの余地はありません。しかし、プロデューサーや監督はダイナミクスと「室内」の様な体感を保持するために、劇中は適度な静けさを保つことにこだわりました。STMのような大型サウンドシステムを使用すると、観客に並外れた体験を与えることが可能となります。私の考えでは、STMを使えば出演者の音環境を十二分にクリアにしながらも忠実で「リアル」なサウンドを最大限実現できると思っています。FOHエンジニアのTanel Klesment氏はほとんどのソリストにHPFしか使用していないにも関わらず、オーディエンスもプロデューサーも期待していた以上の非常に満足のいく結果を得ることができました。」
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