モロッコで名高いカサブランカのスタジアムが、オーディオPA/VA設備の完全なオーバーホールを含む大規模な改装を経て再オープンしました。このモハメドサンクスポーツ複合施設内のスタジアムには、SRシステムに新型のNEXO GEO S12が選ばれ、その設計および施工は、NEXOがスタジアムサウンドに関わってきた長い経験の中でも最も短期間で行なわれました。
Equipment list:
32x GEOS1210
20x GEOS1230
16x GEOS1210-ST
4x GEOS1230-ST
5x NXAMP4x4
1x NXAMP4x1mk2
スタッドモハメドサンクは、最大67,000人まで収容可能なスタジアムです。カサブランカを本拠地とする2つのサッカークラブWydadとRajaのホームスタジアムで、モロッコ代表チームの試合も開催しており、竣工以来モロッコの国立競技場と見なされ、国内最大級のイベントやスポーツ競技会がここで開催されています。
カサブランカ市は施設更新の主要なプログラムの一環として、音声警報および避難誘導の国際基準も同時に満たす世界でも有数のSR設備の施工の指揮に、インテグレーションカンパニーのEncomを任命しました。カサブランカに本拠地を置くEncom社は、モロッコにおいて、PA会社 / インストーラーおよびAVインテグレーター / 業務用オーディオ機器輸入業者と、3つの異なる分野で注目を集める企業です。そして同社の高級輸入ブランドの1つがNEXOでした。
Encom社のゼネラルマネージャーRachid Mediouni氏は、プロジェクトの設計をNEXOエンジニアリングサポート部門に依頼しました。両社は共同して、既にアガディールとマラケシュの2つのスタジアムにて世界でも有数のオーディオテクノロジーの設置を成功させています。
このプロジェクトのスケジュールはタイトで、シニアプロジェクトデザイナーCarole Marsaud氏の回想によると、5月に入札を獲得して7月末に設置完了という納期は、NEXOのスペシャリストES部門における経験の中でも最短の一つに数えられるものでした。
Marsaud氏の見立てでは、スタッドモハメドサンクは大部分が青空スタジアムであるという点でも珍しいものでした。屋根で覆われるのはスタンドのごく一部で、ヨーロッパの国立競技場とは構造が著しく異なります。このような構造ゆえ、オーディオデザイナーは、何千もの座席にサウンドを届けるために必要な強力なスピーカーモジュールの巨大なクラスターをどこに配置するかという問題を抱えました。
「(スピーカーを取付けたい位置に)構造物がない、それが問題でした」と、Marsaud氏は説明します。「高い創造性が求められる一方で、時間のプレッシャーが重くのしかかりました。しかし解決策はシンプルなものに落ち着きました。これまで例のないことですが、クラスターを水平に傾けて、スタンドの傾斜に合わせた角度に設定しました。そうすることで、クラスターは観客エリアに対して垂直になります。これが各スタンド中央の最後列を適切にカバーする唯一の方法でした。」
会場に関するその他の懸念事項として、観衆による非常に高いレベルの騒音に起因する問題もありました。特にカサブランカを本拠地とする2つのチーム、WydadとRajaが激しく争う試合では顕著で、両チームのファンは熱狂的な応援で世界的にも知られています。向かいのスタンド席のライバルチームのファン全体に聞こえるサウンドを届けるためには、NEXOシステムは101dBAの音量を発する必要がありました。
NEXOチームは、GEO S12ラインアレイスピーカーと、その派生製品であるGEO S12-STを中心にシステムを設計しました。GEO S12はコンサートサウンド用に設計されていますが、S12-STバージョンはより高いSPLと音声明瞭度を提供するように改良されており、スタジアムやアリーナのロングスロー用途においては、NEXO製エンクロージャーのベストセラーとなっています。カサブランカでは、70台を超えるGEO S12キャビネットが設置されました。
これらのスピーカーシステムは、4か所のアンプルームに分散配置されたNEXO製NXAMP4x4パワードTDコントローラーによってパワーが供給されています。また、本設備では光ファイバーケーブルを利用してDanteネットワークが構築されており、制御にはヤマハのデジタルコンソールが採用されています。
詳細は以下を参照してください。
ENCOM:
http://www.encom.ma