2019年ラグビーワールドカップの開催会場のひとつとなった豊田スタジアムに、NEXO GEO S12-STラインアレイシステムが導入されました。新システムの導入により、国際大会にふさわしい音響環境を実現しています。
愛知県豊田市にある豊田スタジアムは、約44,400人を収容する国内有数の球技場で、サッカーやラグビーなどの国際大会にも使用されています。2019年ラグビーワールドカップ開催に向けて音響システムの大規模な更新が行われ、NEXOラウドスピーカーとアンプ、ヤマハ製機器による世界水準のシステムが導入されました。プロジェクトでは、株式会社M&Hラボラトリーが設計および音響コンサルティングを担当し、ヤマハサウンドシステム株式会社(YSS)およびNEXO技術サポートチームと連携してシステムを構築しています。
新システムの中心となるGEO S12-STラインアレイは、スタジアムの鉄骨構造内へ目立たないよう設置されています。ハーフタイムの音楽再生やスタジアムDJ、場内アナウンス、大型LEDビジョンの音声再生に加え、ピッチサイドインタビューの拡声にも使用されています。そのため、明瞭な音声再生と高いSPLを両立することがシステム設計の重要なテーマとなりました。
株式会社M&Hラボラトリー 代表取締役 三村 美照氏は次のように語ります。「スタジアムでは大きな歓声や声援にも十分に対応できる音量と明瞭性が確保できる音響システムを備えなければなりません。フィールド上は開放されていますが、観客席上の屋根があり、残響、反響は多くなる環境ですので、均一な音量、音質で明瞭性を確保することが難しいんです。改修前に測定や試聴を行ったのですが、客席内で音が聞こえにくいエリアがいくつかありました。それを解消するために、既存のスピーカーを入れ替えと同時に、スピーカーが足りないところは増設し、さらに音質の調整と距離補正をしっかり行うことで、音の明瞭性を良くすることが主な狙いでした。」
三村氏がNEXOを高く評価した理由のひとつが、2011年に導入されたフランス・パリのStade de Franceでの実績です。GEO S12-STは、スタジアム用途向けに専用開発されたモデルです。コンサート用途で広く採用されている標準仕様のGEO S12よりも高性能なダイアフラムを採用し、約3dB高い効率を実現しています。その高い耐久性と信頼性は、長年の運用実績に裏付けられています。
豊田スタジアムでは、ピッチへ向けた11モジュールのメインアレイをはじめ、メインスタンドおよびバックスタンドには6モジュール構成のアレイを屋根の端部へ設置しています。さらに、最前列席向けには3モジュール構成の小型アレイを配置し、スタンド後方にも補助用アレイを設置。これらにはすべてGEO S12-STを採用しています。また、南北サイドスタンドを含む各所にはPS15-R2およびPS10-R2ポイントソーススピーカーを設置しました。さらに、補助用としてバルコニー周囲に配置されたPS10-R2を48台、必要に応じて運用できる構成となっています。
豊田スタジアムで音響オペレーターを務めるHOR 堀 正弘氏は次のように評価しています。「前のスピーカーとNEXOとの違いははっきりと実感していて、NEXOは音に無理がない感じがします。レベルや時間補正をしっかりしたこともあり、以前に比べて音が格段にクリアになっていますし、明瞭性が大きく向上しました。また、適切な調整によってエコーが少なくなったことも大きな改善点だと思います。」
ラインアレイおよびポイントソーススピーカーを含むすべてのNEXO機材はヤマハサウンドシステム株式会社が納入しました。また、運用室のメインミキサーにはヤマハCL5デジタルミキシングコンソールを採用しています。アンプにはNXAMP4x2MK2 パワードTDコントローラーを使用し、スタジアム四隅のアンプ室へ分散配置しました。運用室と各アンプ室は距離が離れているため、Danteネットワークは光ファイバー伝送によって構成されています。
最後に三村氏は次のように語ります。「NEXOのスピーカーは従来のシステムよりも効率が高く、以前よりも大きな音を出せるようになりました。また、このような施設では耐久性も重要です。屋外に設置されたスピーカーは風雨の影響で故障することも少なくありません。しかし、新たなNEXOシステムにより、厳しい環境下でも劇場クラスの高音質を実現できるようになりました。」
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