#nexolife NEXOの新製品ID84コラムスピーカーにとって重要なアプリケーションとなるのが教会市場です。世界的にこの市場は、非常に古くからある建物から超近代的な建物まで、建築様式も古典的なゴシック様式を用いて専用に設計された礼拝堂から古い映画館や娯楽施設、オフィスビルなどを改装して建設された礼拝所まであらゆる種類の建築様式があります。しかし、このような構造と音響環境の劇的な違いがあるにも関わらず、音響施工会社とシステムインテグレーターが「教会市場」を定義することに役立つ共通の特徴があります。

アメリカ オレゴン州にある大手音響制作会社、Alpha Sound社のチーフエンジニア、Davin Sheets氏は、太平洋沿いの北西部の教会市場へのシステム導入に関して高い評価を得ています。

“礼拝施設には、大きく分けると2つの建物の傾向があると考えています。
1つめをタイプAとします。こちらはヨーロッパで多くみられる‘大聖堂形式’ですが、新設される教会はこの形式を採用することは余り多くありません。この古典的なスタイルは、非常に高い天井とタイルや石造りの非常に硬い材質の表面素材が特徴で、背が高く狭い信徒席エリア、内装も非常に反響の多い環境です。もう1つをタイプBとします。アメリカで多く採用され、アジアでも増加してきています。こちらは現代の教会のスタイルに合わせて専用に設計された建物です。一般的にこれらの建物は現代の福音主義を表現するパフォーマンスホールとしてドライで音響的に響きの少ない‘スタジオ’のようなスペースとしてステージやコンサートレベルのサウンド、照明によるインパクトのあるライブエネルギーを提供できる環境として設計されます。AとBは極めて異なる領域と言えます。

“タイプAでの主な課題は、硬い壁面からの音の反射を防ぐことです。しかしながら、吸音材を取り付けたり、カーテンを取り付けたりするような対処により、視覚的美観を変えたくはありません。響きを残しつつ、明瞭さを提供したいという相反する事項を実現したいのです。では、スピーカーは何処に設置すれば良いでしょうか?多くの人々はスピーカーが見えることを嫌います。これが分散型システムが短所もありながらも定番となっている理由です。これらを避けるため、ラインソーススピーカーを非常に高い位置や天井に隠れるような誤った位置に設置されているような事例を見かけることもあります。視覚的な側面は良いかもしれませんが、スピーカーは人間と同じように呼吸するためのスペースのようなものが必要です。スピーカーを別なキャビネット内に設置すると制御を失ってしまいます。

“我々が最も難しいと考えていることは、必要な人々には音を提供し、そうでない人々には音がいかないようにする事という極めてシンプルなコンセプトですが、その実現方法には多くの考え方、手法があります。例えば会場全体を囲むようにスピーカーを配置する手法が良く見られます。これは多くの小型スピーカーを配置し、それぞれから小音量を再生します。この手法では、シミュレーションのソフトウェアプログラムでSPLカバレージを出力すると一見良いように見えますが、計算上の結果と実際に人間が体感するサウンドに大きな乖離が生じます。我々は実際の経験から、この古い分散型システムは良くない音を、音が必要では無い場所も含めて、均一に空間全体に広げている傾向があることに気が付きました。小型のポイントソースシステムを用いることは、無指向性の指向性ソースによって制御されていない音が全ての方向に拡がり極めて聴き辛い物となってしまいます。これを解決する方法は、ラインアレイテクノロジーによる1か所か2か所の集中型システムに移行することです。”

“そのため、出来るだけ目立たぬように極めて背が低く可能な限り小型のスピーカーを探していました。NEXOのGEO M6コンパクトシステムは我々が知る限り市場で最も小さく、かつJ形状に構成されるポイントソースの集合体とは異なる、真のラインアレイの設計がされています。各M6モジュールのサイズは靴箱程度であるため、我々インテグレーターにとって大きなセールスポイントになります。NEXOは他のブランドとは異なり、サイズ要素を優先するという部分においては、実際に小型で高出力という物を作っています。”

Alpha Sound社は、NEXOのスピーカーテクノロジーの熱心なファンとなってから既に20年以上が経過しています。同社のDavin Sheets氏はNEXO GEO M6ラインアレイシステムについて、中規模な礼拝施設への信頼できるソリューションとみなしています。

“革新的な特許技術を採用するNEXOのラインアレイの音は、驚くほどクリーンです。初めのステップとして、優れたキャビネット設計があって、その上で音質の明瞭さとシンプルさが維持できます。NEXOのソリューションの優れている点は、高域のコンプレッションドライバーから放射される球状波をHRWウェーブガイドによって平面波や凸面波に変換しますが、歪み無く出力されるため、高域周波数をレーザー光線のように目的の場所に向けることが出来るところです。”

“NEXOキャビネットは低域においても、画期的な特許技術を用いた指向性位相デバイス(PDD)を備えています。これはNEXOのラインアレイシステムが他のシステムと一線を画する独自の機能です。この10年程我々も他のブランドの製品も見てきましたが、同じようなことをやろうとしても正確に行えなかったり、特許侵害となるために開発を諦めざるを得ないといった状態です。”

PDDはセパレーターのような働きをします。スピーカードライバーの前にPDDを配置すると、放射面が2つに分割されます。そのため、8インチのドライバー1つでありながら4インチ間隔で配置された2つの物理ソースとなります。結合されたデバイス間の音響距離を2分割すると、高域ドライバーへのクロスオーバーポイントを1オクターブ上げることができます。間隔が20㎝ではなく4インチ、約10㎝となるため、8インチドライバーを850 Hzより上、1.7 kHzまで使用することができます。1.7 kHzで高域とクロスオーバーポイントにする利点は、これらの周波数に対して、人間の耳は非常に敏感であるためです。 (PDDの詳細は、 https://www.nexo-sa.com/blog/what-separates-nexo-from-other-systems/を参照ください。)

“これはユーザーにとってどのような意味があるか?という疑問があると思いますが、単純に歪みが無い、ということです。GEO Mラインアレイシステムの中域レンジは驚くほど明瞭ですが、刺さるような音ではありません。歪みを減少させることは、システムの明瞭性をより向上し、よりナチュラルで、よりヘッドルームを拡大します。多くの礼拝施設は響きが大きい空間ですので、声メインとなるこのような周波数レンジの明瞭性が極めて重要になります。”

教会、モスク、寺院やシナゴーグのいずれの礼拝所も残響のある環境を必要としているようです。これは、宗教的な伝統の一部分であるかと思いますが、建物が礼拝スペースとして機能しながら、音(スピーチ、合唱、礼拝者の参加、音楽)によって高揚感や興奮を演出することも重要です。礼拝のリーダーや讃美歌にとってベストなスペースは、音を保持しつつ、時に印象的に、時に包括的に動き回ることができる空間です。

“これは、イマーシブ体験ということで言い表され、残響がそれらの作成を補助します。”とDavin氏が説明します。“非常に皮肉なことですが、現代の教会に非常に高価なイマーシブ技術が投入され、古典的なタイプAの建物では自然に起こる現象を再現しようとしています。”

“スピーチは増幅しながら自然な音で聴かせるという観点では最も難しいことの1つです。教会の礼拝では、声の忠実度について、特別な操作を行うようなコンサートやイベントとは異なります。礼拝ではコンテンツの95%がスピーチとなります。これはパフォーマンスではなく、メッセージであり、そこに集う人たちの目的そのものです。これが教会に求められる明瞭さと忠実さの理由になります。そうなると増幅手段その物が否定されてしまいます。”

“もちろん、それは無理な話です。音楽環境においては、スピーカーが沢山見えることがポジティブで観客の興奮を高めます。(U2やメタリカ、AC/DCと言った様なアーティストはPAシステムが完全露出なように)対して宗教環境では全てのステップがスピリチュアルな機能を果たすように設計されます。そこに集う礼拝者は宗教的な意味や機能を持たない物が空間あることを望んでいません。彼らにとってスピーカーはエアコンのユニットのようなものです。どちらも目的には必要ですが、空間の中心にいてスピーカーやエアコンのユニットが見たいとは誰も思わないでしょう。”

“逆に大規模な音楽イベントを行うような非常に大型の礼拝所では、ツアーコンサート体験と同様なものを望んでいます。これは、よりダイナミックなプレゼンテーション(大音量の素晴らしいサウンド、大きなセット、照明機器、ステージ、スモークマシン等)によって、動機付けられている多くの若い福音主義運動へのアプローチです。彼らは積極的に最新のコンサート制作を取り入れようとしています。このようなレベルの礼拝所には、NEXOのSTMシリーズやGEO M12というような大中規模ラインアレイソリューションが求められます。”

“しかし、多くのタイプBの小型の教会でも礼拝のスタイルを刷新し、音楽の才能を取り入れることで、若年層にアピールしたいと考えていますが、YamahaのRIVAGEやNEXO STMを導入する予算はありません。私はこのような場合、NEXOの製品からGEO M10等、非常に良い中小規模市場向けの選択を厳しい予算内で提案しています。NEXOの製品については、例えばPlus Seriesポイントソースや最大音圧レベルが136 dB出力される新しいID84コラムスピーカーは、小型のパッケージからは想像できない音を生み出します。そのため建築的にラインアレイソリューションを設置できない環境に理想的です。”

NEXOの新しいID84ですが、厳密な指向角制御と中域でのボーカルの明瞭性を期待しつつ、Devin Sheets氏は既に顧客への仕様化を始めています。“非常に小さな設置面積と薄型に加えて、このコラム設計は教会の用途でGEO M Seriesと同様な多くの音響性能の特徴を持っていると確信しています。”

同氏は、またコンパクトなID24と更にコンパクトなID14を含むNEXOのID Seriesが包括的に提供する機能も強調します。“設置業者にとって、異なる製品、異なるプロセッサー、キャビネット全部のロゴまで含めた見た目の違うものを使用する必要が無いことは非常に助かります。ID Seriesの多様なオプションによって一貫した音質、声の再生、チューニング及びシステム全体でのダイナミックレンジを維持することができます。NEXO製品は何の懸念も無く、組み合わせが容易に行えます。”

Devin氏は最後に、教会市場の音響システムに関係する設置業者やインテグレーターにアドバイスをくれました。“デモ、デモ、デモ。いつでも何度でも皆さんが提案されるシステムのデモを行いましょう。もしデモが出来ない場合は、何故?どうやって新しい技術がより良いサウンドを生むかとことん説明してください。しかしながら、実際我々は結果としての音を販売している訳で、顧客が意思決定されるまえにその音を聴いて頂くことがベストだと思います。”

http://www.alphasound.tech/

写真

ポーランド:Church of the Castle of the Teutonic Order, Malbork

スウェーデン:Bethlehem Church, Gothenburg

シンガポール:Riverlife Church

アメリカ:

  • Bayside Church, Sacramento
  • St Mary’s Cathedral, Portland*
  • Valley Life, Dallas*
  • Cornerstone Church, Iowa

*オレゴン州のAlpha Sound社が手掛けた教会事例