アイルランドのクロークパークスタジアムにNEXO GEOを採用
アイルランドのクロークパークスタジアムにNEXO GEOを採用

アイルランドのクロークパークスタジアムにNEXO GEOを採用

8月 2019 | NEWS | Sports Arenas | GEO S12 | Ireland

ダブリンのクロークパークスタジアムが、常設PA/VAサウンドシステム更新の設計および設置プログラムを完成させました。この象徴的なスポーツ施設は、アイルランド国立スタジアムであるとともにゲーリック体育協会(GAA)の本拠地でもあり、100年以上にわたってアイルランド伝統スポーツの中心地となっています。収容人数82,300人、バルセロナのカンプノウ、ロンドンのウェンブリースタジアムに次ぐ、ヨーロッパで3番目の規模を誇るスタジアムです。あまり知られていない事実ですが、その広さは最大規模を誇っており、全幅88mのピッチは普通のフットボール競技場のピッチの2倍近いサイズで、ゲーリックフットボール、ハーリング、カモギーなど、ゲールの民族スポーツが行えるように設計されています。

キルデアの総合音響映像通信プロバイダーであるMongey Communications社は、およそ15年にわたってクロークパークの業務に携わってきました。同社のチームは今年、技術コンサルタント会社であるVanguardia社との緊密な協力体制のもと、スタジアムの音響設備を大幅にアップグレードさせました。

このアップグレード計画に深く関わってきたMongey Communications社は、常客であるスポーツファンを楽しませるだけでなく、コンサートサウンドの提供も可能とする世界クラスの音響設備の実現に向けて、スタジアムの運営組織であるGAAを動かすことに尽力してきました。クロークパークは、世界中の大規模会場の多くがそうであるように、スポーツ施設としての役割と同時に、音楽やエンターテイメントのイベント主催という商業上の要請とのバランスを取ることが求められます。

音響設備のアップグレードに際してGAAが掲げた基準の焦点は、音声警報および避難誘導(VA)と、観戦を楽しむためのアナウンスや音楽(PA)の強化を目的とするスタジアム施設の品質改善にありました。「スタジアムのオーディオシステムはすでに20年物の域に達していました。技術の進歩はとても速く、音楽再生やスピーチの聞き取りやすさに関する技術の発展に対し、目を向けるべき時が来ていることを私たちははっきり意識していました」と、スタジアム運営およびプロジェクト責任者であるBrian Conlon氏は言います。

スタジアムのサウンドシステムの設計選択は、関連する英国規格ガイドラインおよび業界標準の慣行に従って行われ、スポーツイベント中の生演奏または録音音源によるエンターテイメントオーディオの強化(SR)、映像コンテンツ用のオーディオ再生、およびピッチサイドのインタビュー放送の強化に主眼を置いていました。

新しいシステムは、スタジアム全体の音響改善に加えて、コンサート使用のためにカバレッジを補完する能力を持つことが求められました。外部制作会社は、クロークパークの常設システムと連携できるようになり、Hogan、Cusack、Davinスタンドの上段席に最高の音質を実現できます。

「評判になりたいという思惑もあって、GAAは、最高級のサウンドシステムを要求しました」と、Mongey Communications社のプロジェクトマネージャーであるKevin McGrath氏は述べます。「クロークパークスタジアムは住宅地に囲まれた立地のため、それほど多くの音楽ライブイベントを開催することはできません。それでもいざ開催となれば、Coldplay、U2、Rolling Stones、Taylor Swiftなど、世界のトップアーティストが出演することになるため、GAAはスタジアムのあらゆるエリアで最高の音響カバレッジが得られることを希望しました。」

スタジアムのキャノピー(天蓋)にはロングスローに特化したNEXO GEO S12-STスピーカーのクラスター18基が取り付けられ、そのカーブドクラスターはそれぞれ8台のモジュールから構成されます。新しいシステムは、NEXO専用アンプNXAMP4x4から出力が供給されており、Danteネットワークの制御を通じてクロークパークの3つのグランドスタンドにサウンドを届けます。同一設計による18基のクラスターは全座席に均一なカバレッジを実現し、スタジアムイベントに課される非常に厳しい騒音規制に抵触することなく、SPLを大幅に改善します。Hill 16と呼ばれる競技場の北側は伝統的なテラスとして整備され、独立したオーディオシステムを持っています。

GAAが掲げる目標は、クロークパークに世界最高水準の技術設備を設置して世界最高峰のパフォーマーの招集を可能とすることであり、これには隅々まで調査されたサプライチェーンの存在が不可欠でした。Mongey社とVanguardia社は、費用対性能比の問題、メーカーの供給能力、およびエンジニアリングの問題(目標を達成するために必要なスピーカーの数など)に焦点を当てながら、サプライヤーを3社に絞り込みました。

「私たちははじめ、Stade de Franceなどの関連施設の調査を通じてNEXOを知り、非常に信頼性の高い企業だと判断しました」とMcGrath氏は言います。「計画から実装まで、同社のサポートは完璧と言って良いものでした。」

クロークパークのアンプハブは今年初めにアップグレードされ、8 kmに及ぶ電気ケーブルが敷設されました。クロークパークのすべてのラックの再構築とマーシャリングボックスからNEXO NXAMPへのすべてのケーブル結線に加えて、配電作業と制御用Danteネットワークをアンプに直接配線するケーブル結線は、ロンドンのRG Jones社が請け負いました。

Rolling Stonesのコンサート、ゲーリック競技ハーリングおよびカモギーのチャンピオンシップ、そして教皇の訪問が予定されている中、その合間の恐ろしく限られた時間枠の中で、150台近くのNEXOスピーカーを設置する作業が行われました。

「機器の設置作業には2週間の工期が与えられていました」とMcGrath氏は続けます。「特注の鉄骨フレームに固定されたサブアセンブリを作成しました。キャノピーの高さとスピーカークラスターの重量を考慮したところ、実現可能な唯一の方法は、屋根の上に索具を取り付けて、所定の位置までアレイを引き上げることでした。アレイはキャノピーの上からすべての配線を施された上で、アレイを保持するために特殊な鋼材で改造された屋根構造下部の所定の位置にボルトで留められます。」

驚いたことに、Mongey社のチームは2週間を待たずして18個のクラスターすべての取り付けを完了し、ネットワークの微調整とシステムのテストや試運転に1週間の余裕を持たせることができました。「私たちがどれだけ早く仕事を終わらせたか、他の人には伝えないほうが良いかもしれません。他のスタジアムのオーナーたちが、それぞれのインテグレーターにも同じことを期待してしまうかもしれませんからね!」

Danteネットワークの恩恵により、エンターテイメントのコンテンツに応じて、ミキサー位置をピッチ横にも簡単に設置できます。

新しいシステムの大部分が稼働を開始した昨年夏以降、スタジアムは多種多様なイベントを開催してきました。通常の年次予定である定期開催スポーツ行事は、8月から9月にかけて行われた全アイルランドのハーリングおよびゲーリックフットボールの2018年度決勝戦で締めくくられました。さらに、2018年度世界家族会議の一環としてフランシスコ教皇のアイルランド訪問もあり、これは1979年以来初となる現職の教皇によるアイルランド訪問でした。もう1つのハイライトは、クロークパークにおけるフェスティバルオブファミリーズで、これには53,392人が出席しました。音楽方面で言えば、Cusack、Davin、Hogan各スタンド上段席の音響強化のためにスタジアムに設置された音響設備を最初に使用したのは、クロークパークで復帰コンサートを行ったMichael Bublé氏でした。

スポーツ、文化、コンサート、これらすべての場面において、NEXOシステムは全世界からポジティブな評価を得ています。オーディオ品質が大幅に向上し、世界の最上級製品との比較においても遜色ありません。この新しい機材は、要求される各種安全基準を完全に満たすことに加えて、一般アナウンス用PAを非常に高い品質で実現します。スポーツイベント中の生演奏または録音音源によるエンターテイメントオーディオおよび映像コンテンツ用のオーディオ再生のSRには並外れたものが見られ、ピッチサイドのインタビューとコンサートオーディオのSRに関する論評やフィードバックも世界的に高評価でした。

 

NEXO GEO S12-ST
NEXOのコンパクト2ウェイGEO S1210-STは標準GEO S1210キャビネットの高出力ロングスローバージョンで、スタジアムでの設置に最適化されており、ロングスロー用途において卓越したSPLを実現しスピーチの聞き取りやすさを高めます。このモジュールはNEXO独自の指向性位相デバイスを使用しており、12インチの1台から優れたMF/LF出力(定格感度105dB SPL)を備えています。

www.mongeycommunications.ie