#nexosound

#nexolife

Part I

NEXOのカタログの注記まで目を通されたらお分かりになると思いますが、今までの歴史の中で幾つかの世代ごとに独自の性能をラウドスピーカーに持たせた多くの特許技術を保有しています。それらの中でもベストセラー製品の1つに採用された双曲面反射型ウェーブソース(HRW ® )は、ほぼ偶然に作られたという事実を明らかにします!

NEXOは1998年にあの有名なAlphaシリーズを発売しましたが、これは市場に登場した最後のHiQ(狭指向)ポイントソースシステムの一つであった為、他メーカーが設定した性能ベンチマークを上回ることができました。もちろん Alphaは世界中で大きな成功を収めていましたが、当時L-Acoustics社のV-DOSCシステムが注目を浴び始めていて、NEXOの設計エンジニアであるEric VincenotとFrançois Deffargesは、すぐにラインアレイの開発を迫られました。

「私たちは創造的でなければなりませんでした。」と、NEXOのエンジニアリングサポートディレクターであるFrançois Deffargesは語ります。 「ウェーブガイドに関する特許は、L-Acoustics社の1件しかありませんでした。Ericは、20 kHzまで到達する適切なラインアレイの設計を可能にする独自のソリューションを持たずには市場に参入しませんでした。それは市場が期待していたことですし、この点は妥協できませんでした。妥協したメーカーのほとんどは成功を収めることが出来ませんでした。

「研究開発室のホワイトボードを覚えています。一方には丸(HFドライバーの開口)があり、もう一方には長方形(平面波)がありました。これを実現したかったのです。そして真ん中にはクエスチョンマークがありました。ウェーブガイドに関する唯一の特許を侵害せずに、どうやってそれを実現するかということです。私達は最初に平面波の生成が可能な放物面(パラボリック)反射器からスタートし、最終的には非常に正確な湾曲した波面を作ることができる双曲線(ハイパボリック)反射器を使うというアイデアに到達しました。2000年9月に特許を申請する準備ができるまで、テスト、プロトタイプ作成、および検証を行いました。」

NEXO’s Patented Hyperbolic Reflector Waveguide ®

 

従来のラウドスピーカーでは、筐体の高さまたは幅に沿って連続的な波面を発生させない限り、高周波数範囲で結合することはできません。NEXOのHRW ® ウェーブソースは、高域のコンプレッションドライバーで発生した球面波面を音響反射板で平坦または凸波面に変換します。これにより、キャビネット間の角度配列が0°から30°以上の範囲で、最大20 kHzまで干渉なしにスピーカーキャビネットの音響結合が可能になります。

「私はEricとレストランに行った日の事を覚えています。彼は私たちが何か特別なものを持っていることに気づいて、テーブルの上でジャンプしそうな勢いでした!しかし、市場からのプレッシャーがあったにもかかわらず、私達はハイエンド・システムにこの機能を適用すべきでないことはわかっていました。なぜならツアリング市場のこの部分では競合他社が多数いたためです。そして私たちは逆の方向に進みました。

NEXOチームは、まず2000年に当時NEXOで最小のポイントソースキャビネットであるPS8を発表しました。同時に全てを一旦白紙に戻して、ラインアレイの開発を始めました。それが2001年にローンチされ、市場に登場した最小のラインアレイシステム、GEOS 8です。

François Deffarges, NEXO Director of Engineering Support

私達にはラインアレイの経験がなかったため、まず直面した困難は、キャビネットの音響設計ではなく、リギングシステムでした。

そしてこのシステムにどこまでの能力があるのかも解りませんでした。「ロックのショーはできますか?どんなことまでできますか?」と尋ねてくる人もいましたが、直ぐに答えることが出来ませんでした。しかしすぐに、S8クラスターは100 m先まで問題なく音を到達させる事が出来、高いSPLや、そこまで低域を必要としない多くの用途に適用できることがわかりました。」

実際に、最大2万人のクラシック音楽やジャズコンサート、企業イベント、政治集会、会議、テレビ番組等、幅広い用途で問題なく使用されました。このユニークなデザインは、多くのユーザーに驚きとメリットを与え、コンパクトなサイズは輸送の面で大きな節約をもたらしました。ユーザーにはシステムの構成と対応するアプリケーションの幅広さにおける柔軟性を非常に気に入って頂けましたが、それはNEXOが当初想定していた範囲より更に広いものでした。GEOS 8は、発売以来4万台以上という、世界でもトップクラスの販売台数を記録しています。「当時、誰からも要望が無かった製品でしたが、独創的で創造的なGEO S8は、導入されたレンタル会社にとって大きな武器となり市場で認められたのです。」

「現在私達は優れたコンピュータモデリング能力と3Dプリンタによって、様々な試作品を迅速に、且つ特許の範囲内でテストが可能です」とFrançoisは語ります。

このように、HRW ® ウェーブソースは過去20年にわたって着実に進化してきており、GEO S12、GEO M6、GEO M10、GEO M12、STM M46、M28モジュールなど、NEXOのさまざまなラインアレイシステムの中核に採用されています。