オプタス・スタジアムにオーストラリア最大の音響システムを導入
オプタス・スタジアムにオーストラリア最大の音響システムを導入

オプタス・スタジアムにオーストラリア最大の音響システムを導入

8月 2018 | NEWS | Sports Arenas | GEO S12 | ID Series | Australia

西オーストラリア州の州都パースにある名門オプタス・スタジアムに、500台近いNEXOラウドスピーカーキャビネット(ラインアレイとポイントソース)が導入されました。この最新鋭のAVシステムは、オーストラリア随一のAVシステムインテグレーターRutledge AV社によって納入されました。 3年にわたる設計プロセスの中で、ラウドスピーカーシステムの幅広い評価が行われ、最終的にGroup Technologies社のNEXOソリューションが契約を獲得しました。

オプタス・スタジアムはオーストラリアで3番目に大きく、オーストラリア・リーグ(AFL)の2チームの本拠地であり、さまざまなスポーツの国際的なイベントや、話題のライブコンサートが多数開催されています。 デジタル管理でシステム制御された1000台以上のラウドスピーカーがスタジアム全体に設置されており、国内最大のサウンドシステムとして知られています。

Rutledge AV社は、メインボウルPAと呼ばれるスタジアム客席全体において、0.6STi以上を実現する意欲的なPAシステムの構築に挑戦しました。さらに、60,000席の全観客に対して公称SPL102dB(±3dB)が要求されました。

Rutledge AV社は、機能、価格、性能の3つの主要な基準に基づいて、5つのラウドスピーカーシステムを評価することにしました。
「ネットワーク能力、サービスサポート、リギングハードウェアの能力も決定する際の重要な要素でした。」と同社のプロジェクトマネージャーElijah Steele氏は語ります。
「当初から、NEXOは様々な要因で明らかに勝者でしたし、プロジェクトの期間中、このメーカーは私たちが必要とするときにいつでもサポートを提供してくれる素晴らしいパートナーであることを証明しました。NEXOの販売代理店であるGroup Technologies社とは以前から何度も仕事をしており、彼らのサポートに完全に頼ることができることを知っていました。」

「私たちはラインアレイのソリューションを希望していましたが、既存のデザインの制約の中で仕事をしなければならないことが分かっていました。」とSteele氏は続けます。「重量制限に加え、布製の屋根のため、スピーカーを吊り下げる場所が限られていました。最終的には、屋根の構造体の先端からアレイを吊り下げることにしました。」

このプロジェクトでは、安全衛生上の要件を満たすために、構造物のエンジニアと幅広く事前協議を行う必要がありました。「構造的には、メインラインアレイスピーカーの無限疲労寿命の長さに対して、設置する部材が耐久性を持っていなければなりません。また、大型台風などの100年に1度の異常気象も想定する必要があります。インド洋と砂漠に近い環境で、このような大きな構造物の設置は、非常に困難です。」

GEO S12 x12台とLS18 x3台を組み合わせた18本のアレイが、スタジアムのパンチのあるSPLの大部分を提供するために設置されました。NEXOのNS-1ソフトウェアによるシミュレーションによって決定された特別なGEO S1210とS1230モジュールは、L1席まで均等にカバーするロングスロー機能を備えています。GEO S12の双曲面反射型ウェーブソースによって垂直方向と水平方向のコントロールがさらに強化され、指向性位相デバイスによって通常のLF-HFカップリングの限界値よりもコヒーレンシーが拡張されています。各アレイに追加された3つのLS18サブウーファーの存在により、LFレスポンスが-6dBで32Hzまで拡張されます。

保護等級IP65準拠の対候性アレイ(x18本)用にカスタマイズしたアレイケースを製作するため、まず金属加工専門店に依頼し、次に専門の下請け業者を雇って工事を依頼しました。そして、ラインアレイのハンギングは危険度の高い作業であるため、労働安全衛生という難題をクリアしなければなりませんでした。

客席の上に建てられた仮設足場から、ラインアレイのサブ構造をひとつひとつ作り上げていきます。最初は15台のキャビネットがない状態で、専用のスーパークレーンをピッチに設置し、アレイを等間隔に配置された18の吊り点それぞれへ吊り上げました。いずれの場合も、屋根の上にいる資格を持った下請け業者が、仮設足場の上にサブ構造を吊り下げるための仮設機械アタッチメントを作成しました。GEO S12とLS18はサイドパネルを取り付け、特注の移動台車で最終位置まで上げる前にロード、スプレイ、接続、テスト、校正が行われました。

「最初のアレイは若干時間が掛かりましたが完璧なものでした。すぐに1日に1つのアレイを設置するという良いリズムができました。また、ルーフガントリーに常設する移動台車もカスタマイズしました。これによりキャットウォークからL1までラインアレイを降ろし、定期的な点検、清掃、メンテナンスを行うことができます。”

L1、L3、L4のアンダーバルコニー席でSTi0.6を達成するために、さらに200台のNEXO ID24キャビネットが設置されています。ディレイシステムの各ID24は4インチのデュアルドライバーを双極に位置するダイポール配置で組み込まれています。これらがGEO S12のカバーから外れるスペースをカバーしています。「これらのパワフルなキャビネットは、私たちがシャドーエリアと呼ぶ100dB SPLのハンドリングを可能にし、そのコンパクトなキャビネットサイズながら目立たたずに完璧に要求を満たします。」とSteele氏は説明します。

GEO S12とLS18の各アレイからのケーブル配線は、85m以内にあるNEXO NXAMP4x1とNXAMP4x4アンプラックが収納された多数のL5コントロールルームラックに接続されています。プロセッシングプリセットを搭載したNXAMPは、下層の放送室にある4枚のMY8-ADDA96カードを搭載したYamaha CL5コンソールから信号を受信しています。

デジタルDante信号伝送ネットワーク上で動作する統合PAシステムは、Q-LANネットワーク経由ですべてのゾーンにブロードキャストされます。 「モニタリングとゾーンコントロールに関しては、Q-SysプラットフォームはNEXOラウドスピーカーシステムと完全に統合する必要があり、最終的に2つの異なるプロトコル間のカスタムインターフェイスが必要となりました。両社は、オペレーターがPAをモニターしたりミュートしたりできるように、互換性を持たせるために特注のソフトウェアスクリプトとコマンドを共同で作成する必要がありました。」モバイル設定とモニタリングは、iOSのタッチスクリーン上にYamahaのStage Mixアプリという形で追加されました。

Bowl PAはアナウンスやBGMのほか、イベント時にはフィールドの音響システムを補完する中継システムとしての役割も担っています。さらに、Bowl PAは各階層や客席エリアごとに分離することができ、特に小人数のイベント時に聞こえる音響の反射を最小限に抑えることができます。下層部の音量を下げたりミュートにすることで、フィールドシステムからBowl PA上層部へシームレスに移行することができます。

「オプタス・スタジアムは、私たちを新しい次元に導いてくれました。」と、Elijah Steele氏は締めくくります。
「ラインアレイの構造だけでも大変なことですが、それに加えてケーブルのインフラ、バック・オブ・ハウスのプレミアム会場、放送設備などを追加しなければなりません。その過程で多くの課題がありましたが、最終的には成功させることができました。初日から、私たちが集めたチームは、非常に熱心でプロフェッショナルでした。その結果、イベントの規模に応じて高度な柔軟性を提供できる多機能な会場が完成しました。」

「スタジアムの最終的な設計図には、設計寿命を20年まで延ばすことを求める基準もあり、将来を見据えた設計が重要な役割を担っています。数年後に交換が必要にならないよう、市場にあるものを徹底的に調査しました。それ故に、ファイバーバックボーンはとても重要なのです。CL5コンソールやQ-Sys Coreプロセッサーなど、最近のほとんどのハードウェアは、ソフトウェアやファームウェアを介して更新することができ、その使用期間がさらに長くなります。」

Richard Lawn氏とPro AVL誌に文章と写真の一部転載許可をいただきました。
このリンクから彼らの記事を読むことができます。また、彼らの素晴らしいウェブサイト https://www.proavl-asia.com/ もご覧ください。

Further information:
Mark Ladewig

GROUP TECHNOLOGY

www.gtaust.com

Tel: 0061 3 9354 9133