音楽と説法は現代の教会におけるサービスの中核です。そのため教会の聖域における常設のオーディオシステムに際しては、非常に厳格な性能評価を行う必要があります。スウェーデンのイェーテボリにあるベツレヘム教会では、教会の空間における音響を慎重に分析し、メーカーの提案するソリューションを試した結果、改修時にNEXO GEO M6コンパクトラインアレイが導入されました。
Tech 4 Event AB社は近年教会の施工を専門に手掛けているため、ベツレヘム教会と、そこに集う800人の熱心な礼拝者のニーズを評価するために呼ばれました。同社のCEOであるBjörn Carlsson氏と彼のチームは、意匠に馴染む外観と最適な音響性能を考慮しながらいくつものサウンドシステムを試しました。
教会は、Björn Carlsson氏によって選び出された2つのブランドを最終的にデモ、聴き比べを行いました。
“このようなテストの機会は、顧客、今回の場合は教会の人々にとって非常に意味があります。実際の納入される前に各システムを実際に試聴してから選択できることになるからです。これは複数から良い物を1つ選ぶということを体験から選ぶだけではなく、何よりもそのシステムが実際に普段行われている集会や活動に適しているかを判断頂けることに意味があります。”
最終的な選択は、教会側の会議によって決定され、NEXO GEO M6コンパクトラインアレイが選ばれました。
改修にあたっては、まず最初に天井の交換など、建物の音響を改善することから開始されましたが、Björn Carlsson氏と彼のチームのサポートによって聖域の設計と、音響への影響を確認しながら進められました。
“我々にとって最も重要ツールの1つであるNTI XL2音響アナライザーを使用しました。これにより周波数特性、音圧レベルやSTIPA値などの音響性能を書面化することが可能になり、部屋内でのスピーチの分析を広範囲に渡って行うことができます。この測定器は施工前、施工中、施工後全てで使用することで、測定されたデータの指標を通じて数値的にどれだけ改善されているかを多岐の要素で確認することができました。”
“プロジェクトの初期段階では複数のコンピューターシミュレーションを行い、ベストな結果を得るためには何処にスピーカーシステムを設置したらよいのかを正確に確認しました。これは教会の建築図面に実際に測定されたルームデータを加味して行いました。その結果を教会の3Dモデルとして今回の場合はパワフルかつドラッグアンドドロップで直感的にシステム設定が可能なNEXOのソフトウェアNS-1を使用してシミュレーションを行いました。”
“NS-1プログラムは、どのNEXOシステムでも、実際のロケーションに当てはめて、設定と性能の最適化とシミュレーションが可能です。測定されたスピーカーデータを複雑な数学的データと共に処理し、3次元での音圧レベルとディレイの予測が可能です。そのためルーム内で各種のスピーカーシステムがどのように動作し、どの様に聴こえるかを素早く効率的に確認することができました。また、必要な結果を得るためには、どのモデルが何台必要なのか？も分かりますが、何よりも重要だったのが、それらを部屋のどこに設置すればベストなのかが導き出せることでした。”
教会の建物内の音響はしばしば困難な課題となりますが、このプロジェクトでは教会側からの要件の一つに、必要以上に視覚的に目立たないスピーカーシステムの設置がありました。
“我々は経験から適切なテクノロジーを用いることで、見栄えが良く、教会のルームに溶け込ませることができる優れたサウンドシステムを構成できることは分かっていました。これは、床と天井を結ぶ重いコンクリートの梁にスピーカーシステムを取り付けることで解決しますが、教会側からは加えてスピーカーの色を梁の色と同色にして欲しいという希望もありました。そのため、スピーカーとフライング金具は、建築家から入手したRALカラーで特別に塗装されているため視覚的に完全に溶け込んでいます。”
NEXO GEO M6は比較的新しいシステムでこの辺りの柔軟性も持ち合わせているため、チームが教会の内装に視覚的に溶け込ませることを簡単に行うことができました。
“GEO M6の軽量ポリウレタン複合キャビネットのサイズはわずか幅375 x 高さ191 x 奥行き260mmであるため、意匠に繊細な環境での設置に最適です。更にこのラインアレイは音圧と音質の両面でも非常に優れたパフォーマンスを発揮します。広範囲に渡るアクセサリーは、ただ用意されているだけはなく、我々のような施工会社やレンタル会社にとって非常に重要な信頼性についても非常に優れたパフォーマンスを備えたTÜV認定のシステムとなります。ベツレヘムのシステムは9台のGEO M6モジュールのアレイが2カ所、計18台が使用され、これを2台のNEXO LS18サブウーファーが補完するシステムです。このシステム全体は、システムのサウンドを優れた物にする高度なプロセッサーを内蔵したNEXO NXAMP4 x 1, 3 台で駆動されています。”
Carlsson氏は最後に次のように語ります。“私たち、そして更に重要である教会やそこに集まる人々からベツレヘム教会のこの度に改修に非常に満足していると言われています。もちろん低音から高音までの周波数特性全体の音質が遥かに良くなりましたが、中でも重要なのは明瞭度が大きく向上したことです。教会内のどの席でも同じ音を楽しむことができるということを達成できました。実際に、教会内の最大音圧レベル差は、たった2 dBしかありません。これは非常に良い結果だと思います。”
Peter Fredberg氏によるMONITOR magazine誌の寄稿記事を許可を得て転載しています。
All photos © Peter Fredberg.
