ヤマハが毎年主催するSystem Designers Conference(SDC)は、今年はチェコ共和国での開催となり、40か国から300人以上の音響業界の専門家が参加。会場となったプラハのO2 Universumには、直近に常設のNEXO STMシリーズSRシステムが導入されました。
今年のSDCのテーマは「イマーシブオーディオ」で、多種多様なプレゼンテーションやデモンストレーションが公開されました。例えば、Prague Music String Quartetによるデモ演奏ではヤマハのアクティブ音場制御システムAFC4を使用した音場支援効果が用いられ、その後には、部屋の中にニワトリのぬいぐるみを放り投げてそれをAFC4システムが追跡して鳴き声を再現する音場効果の実演などが行なわれました。他のセッションでは、アリーナのAFC4システムを使用してステージトラッキングで劇場やライブステージの臨場感をどれだけ高められるか、リジェネレート方式オーディオシステムを使用してどれだけスポーツ会場の雰囲気を盛り上げられるかのデモンストレーションも実施されました。
Universum Arenaのメインホールには、AFC4の観衆支援機能を実演するためにNEXOの新商品 P12ポイントソースモデル12基が観客の頭上に設置されました。「アリーナでは聞き取りやすさを高めるために吸音設備が必要とされますが、これにより臨場感が損なわれるため、電気音響的手段で臨場感を補強する必要があります」と、NEXOエンジニアリングサポートディレクターFrançois Deffarges氏は説明します。
この他にも、ポールに設置したNEXO製超小型ID24キャビネット36台とID S110サブ8台を使用して、現在ヤマハで開発中であるもうひとつのイマーシブサウンドソリューションのデモンストレーションが行なわれました。そしてさらにもう一つ大規模なデモンストレーションも実施され、ライブミュージシャンの演奏と60台以上のIDシリーズキャビネットにより改めてAFC4の威力が披露されました。
一方でNEXOは大規模アリーナのシステム設計と財務に関するセミナーを主催するとともに、ヤマハ社員と共同で音響測定および分析、デジタルネットワーキング、スタジアムおよびアリーナのEN54認証、リモート会議、プロダクションマネジメント教育、認証のワークフロー、人工知能ベースの音声アシスタントについてのセッションを行ないました。
そのような中で今回特筆すべきは、ヤマハミュージックヨーロッパのRon Bakker氏、Christine Denner氏、Robert Jurik氏の存在です。彼らの影ながらの尽力があったからこそ、このイベントそのものが実現できたと言っても過言ではありません。