受賞歴のあるレバノンのジャズトランぺッター兼ピアニストのIbrahim Maalouf氏は、コロナウイルスに影響される現代に古代と現代を融合した画期的なライブパフォーマンスを実現しました。舞台はフランス南部に位置する歴史的なArena of Nîmesで、ここはローマ式の巨大な円形劇場です。Maalouf氏の制作にはハイスペックなNEXOのモバイルサウンドシステムが使用され、会場をイマーシブサウンドフィールドとし、同時に将来的にマルチチャンネル再生できるように収録されました。
ライブ音楽に大きな打撃を与えたロックダウンの後、Ibrahim Maalouf氏はパフォーマンスを再開すると決めました。この著名なトランペッターでありピアニストでもある同氏はジャズやワールドミュージックでは広く知られており、映画音楽のコンポーザー、例えばMathieu CheddidやMelody Gardot、Sting等のゲストアーティストとしても活躍し、今までにも数々の賞を受賞しています。そんな彼が選んだArena of Nîmesは広大な劇場ですが、そこで親密な内容のコンサートを行うと言うことでした。
世界で最も保存状態の良いローマ式円形劇場の1つであり、かつ最も大きな劇場の1つでもある同所は、133 mの奥行きと101 mの幅があり、2層の客席となっています。長い歴史の中で数々のライブコンサートが行われてきた場所です。しかしながら、現在のパンデミックにより安全制限によってMaalouf氏が観客を入れることはできませんでした。そのため代わりにユニークなコンサートムービーを制作することにして、数々のジャズビデオの制作を行ってきたOleo Films社のオーナーSamuel Thiebaut氏に監督を依頼し、Quincy Jones氏がオンデマンドプラットフォームとして提供しているビデオオンデマンドQwest TVで放送することにしました。
撮影は有名な南フランスの夏の陽光が降り注ぐ古代建築物で行われ、メインパフォーマー（Maalouf氏がトランペット、François Delporte氏がギター）がアリーナ内を客席上段やバルコニー席、そしてそれぞれが1.5 mの距離を空けて立つ100人のミュージシャンによるブラスバンドと100人の子供によるコーラスがいるセンターを移動して行われました。監督は舞台構造物やトラス、照明、音響機器が出来る限り映像に入らないようにしました。
Oleo Films社はレコーディングとミキシングエンジニアとしてHerison.tv社のNicholas Poitrenaud氏を招聘しました。“最初は単純に映画用の音を録音すれば良いかと思っていました。しかし、Maalouf氏のツアーサウンドエンジニアであるJean Lyonnet氏と会話した際にパフォーマーはライブコンサートの空間とその感覚を感じる必要があるということを理解しました。Samuel Thiebaut氏からはイマーシブ音場を作り、それを録音し、将来的にマルチチャンネル再生で使用できないか？という相談も受けました。”
Poitrenaud氏は非常に多くのシンガーとミュージシャンがこのような広い空間でモニター無しではパフォーマンスできないということに気づきました。“そのためイベントにPAを使用することにしてTEXEN社に機材を依頼し、NEXOのエンジニアリングサポート部門のBertrand Billonのサポートも頼みました。彼らには簡単に移動と設置ができ、且つ多様でパワフルなライブサウンドを供給できるFOHシステムで、プロジェクトの性質上見た目が目立たない物を用意して欲しいとお願いしました。”
TEXEN社が選んだのはFOHにヤマハのCL5デジタルコンソールとNEXO GEO M12スピーカーでした。2台のMSUB18の上に3台のGEO M12モジュールを取り付けた小型でパワフルなグラウンドスタックは移動も簡単に行えるFOHシステムです。全てのスピーカーがDANTEネットワークカードを取り付けた新しいNXAMPMK2アンプで駆動しました。Poitrenaud氏はまたコーラスとブラスバンド用に目立たない分散配置のモニターが必要でした。TEXEN社はこれを非常に小型なNEXO ID24を小型のマイクスタンドに取り付け、コーラスの子供たちの周囲を囲むように設置しました。他にもNEXOの新しいポイントソースP8キャビネットがリモートステージのFOHとステージモニターとして使用され、P12がパワフルなステージモニターとしてメインの2人のパフォーマーに使用されました。
“これはNEXOのソリューションの全てをお見せする良い機会となりました。”とBertrand Billonは語ります。“大小のポイントソースからパワフルなコンパクトラインアレイの全てのテクノロジーを使用しました。ステージをスッキリ見せるためにアンプラックは離れた位置に置き、長いケーブルを使用せざるを得なかったり、様々な制約の中少人数で頻繁なPAシステムの移動等を行うためにタスクをマージして管理して行いました。TEXEN社はこのプロジェクトに完璧に対応してくれました。”
この映画の公開は11月、Qwest TVでの放送はIbrahim Maalouf氏のニューアルバムのリリースに合わせて行われます。
